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『精密OB・OGから新入生へのメッセージ』 報告

2010年5月12日(水),12:50より,5134号室にて
『精密OB・OGから新入生へのメッセージ』
新入生が大学で学んでおくこと ~精密機械工学科で学ぶ学問とは~
が開催されました.

様子と参加学生からの質問にお答えいたします.

司会進行は,杉本真優先生です.戸井先生から開会の挨拶をいただきました.

【講演1】『経営層の視点から』

メーカ(企業)における製品と精密機械工学科で学ぶ学問との関わり
―工作機械を例として―
精密機械工学特別講義(専門必修) 講師 小島 輝一 氏(1967年卒)


【講演2】『学術的な視点から』

~設計におけるいくつかの問題と精密工学~
ミネベア(株) 枝 眞 氏(1976年卒)


【講演3】『製品開発の視点から』

~モータ関連のお話~ “モータ技術と大学の講義”
ホンダエンジニアリング(株) 塩原 仁 氏(1986年卒)


パネルディスカッション

パネルディスカッション後も,部屋を移動して学生からの個別質問にお答えしました.

イベント終了後に回収したアンケートに対してお答えいたします.

【質問1】自分のスケールをもつ」とはどういうことか、もう少し具体的に教えてください。

【回答:小島】
スケールをもつ⇒‘レベルを知る’に変更した方が適切かもしれません。
‘何でも、全てわかる’事は良い事ですが、各位それぞれの立場で、分かる事、分からぬ事があると思います。
(技術面を含めて)自分の理解出来るレベルをしっかりさせ、
‘理解出来るレベルはここである’事をしっかり説明が出来て、‘分かる人’に聞くことが出来る人間と考えます。

【質問2】精密機械を作るうえで、重要なことはなんですか?

【回答:塩原】
非常に難しい質問です。対象物の目的にもよります。
製品の機能だけに絞れば、動く部分は同じ精度(公差)で設計する。同じ硬度に設定する。熱膨張係数も同じものをなるべく使うなど品質をなるべく一定にすることだと思います。
また、安全や修理を考え、万が一の時に、一番先に壊れるところを設定(場所と使用時間的に)して設計し耐久確認すること。車、医療器具などの生命にかかわるものは、少なくとも壊れないか、壊れる限界時間を明確にしてメンテナンス時期を必ず設定することです。(車なら10年、10万Kmなどの品質保証時間を明確にする)
商品であることを考えると、必ず材料のコスト、加工のコスト、組み立て精度の保証コストなどお金がかかわってきますので、全てに同じ精度、材料を設定するのは難しいです。機能を使用される条件の中で成り立たせながら、コストを成立させることも重要になります。
一番は、設計者が使用する人の立場に立って、その製品がどう使われ続けるかを考えその製品が持ち続ける機能と性能をどう維持するか(メンテナンスも考慮)、それを使う人の買えるコストで作りだすかだと思います。
すなわち、研究者、設計者にはこだわりや、使命感、哲学的考えが必要だと思います。

【質問3】日本のものづくりの現状について教えてください。

【回答:塩原】
ものづくりは、研究でその製品に必要な新機能(機構)など他社に無い自社オリジナルの技術を確立し、それを元に製品を設計、その製品を作るラインを作り上げなくてはなりません。そして、そのラインで製品品質を一定に保つよう、工程、設備の管理をしなくてはなりません。製品設計は、ラインの工程、設備の管理などを理解して設計しなくてはなりません。
今までの日本は、この研究、設計段階とラインが同じ日本にあることで、開発、設計が早く行われ、ライン品質も製品性からの要求を満足するように、日々の管理を頑張っています。
最近は、日本の人件費があがり、製品組み立てコストが高くなったことから海外(中国、タイ、インドなど)でラインを立ち上げ、製品組み立てを行っています。
そのため、研究、設計する部署が製造ラインから離れることで、早い開発と設計が難しくなる場合が出てきています。小島さんの言ってた経営⇔技術⇔技能のトライアングルのバランスが崩れています。このバランスを崩さず、日本国内での研究と設計、海外での生産を上手くバランスさせることが重要になってきています。

【質問3】受験が終わって以来、目標が定まりません。どうしたらいいでしょうか?

【回答:塩原】
1)大学1年生としての目標(1年目のマイルストーン)をまず、単位を落とさない、Aを80%とるなど講義の成績を目標に取り入れてみる。(出席率90%以上とかも)

2)在学中に資格を取る。
たとえば技術士、情報処理など。英検(2級⇒準1級⇒1級)やTOEIC(600点⇒800点⇒900点)など、スキーで1級をとるなど、スポーツでの資格もあります。(私はもって無い)私は、大学4年生でアマチュア無線、会社に入った後に情報処理を取りました。

3)私の場合、自転車のクラブに入り、大学4年間で日本1周をする目標を立てた。
(私の結果は、中国地方、山陰山陽地方にはいけなかった)
お金が掛かりますが、バイクの免許を取ってキャンプをして日本を1周するのもいいかも。
私は、夏休みの半分アルバイトをして、10日位は自転車で合宿やキャンプをしていました。

4)アルバイトをして、自分のお金でアメリカやヨーロッパへ海外旅行をしてみては?
自分のお金で、海外経験をするのは大学生でないと経験できないかもしれません。

5)精研に加入して、低燃費車(Hondaエコランとか)を作り大会で優勝を目指してみる。
最近は、EVカーレースやソーラーカーのイベントもあるので参加してみるとか。講演で話した、自ら経験してみること、結果や成果が合否や点数で出ると分かりやすいです。

是非、自分でいろいろ調べて興味を持てるものに目標を設定して、チャレンジしてください。