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Tag: "JIIMA"

「デジタル化文書の標準化」を通して真の国際化へ

精密機械工学科同窓生,在校生の皆さまへ

 同窓会庶務Web担当の高橋です.
 今回は,精密OBで当同窓会役員でもいらっしゃる,鳥海氏をご紹介いたします.
 1966年小林研ご卒業で,現在は,「株式会社鳥海ネットワークファイリング研究所」の代表を務められております.
 同氏は,また,ご卒業後,大手精密機械の研究開発部門等で活躍される傍ら,30余年にわたり”文書・イメージング”に関するJIIMA「標準化委員会」及び経済産業省「JIS原案作成委員会」の委員長を務められてきました.2009年3月末を持ってご退任されました.

JIIMA(社団法人 日本画像情報マネジメント協会)とは?【同Webサイトより転載】

 全世界的なコンピュータとインターネット技術の普及と浸透は、社会全体の情報化を予想以上のスピードで進展させています。特に、ネットワーク技術の進歩は、従来の手法ではその管理に限界を感じるほどに情報量を飛躍的に増加させています。

 JIIMAは、こうした情報管理の環境と領域の変化に応え、従来からの紙やマイクロフィルムの文書とコンピュータの電磁的記録などの情報を含んだ広い概念の文書情報を、そのライフサイクル全体を通して、より確実でより効果的に活用・保存を可能にする「文書情報マネジメント」の普及・啓発することを活動の中心としています。

 ITの技術的な進歩に伴い、文書情報の管理もスタンドアローン型のマイクロフィルムシステムや光ディスクシステムからネットワーク型の電子文書情報管理システムヘと発展してきています。

 JIIMAは新しい時代のニーズに対応するため、技術領域、市場領域、事業領域を拡大し、標準化・規格の作成、展示会・セミナー、人材の育成、出版などの活動を通じて21世紀の高度情報通信社会の発展に貢献することを使命としています。

 JIIMA発行ジャーナルの月間IM,2009年6月号に,鳥海氏についての長年の功績についての記事をご紹介いたします.

「月刊IM 2009年6月号 News a la Carte」より【抜粋】

 これまで、JllMAの委員会で数多くの活動をしてきた鳥海史郎氏がこの度、2009年3月末をもってJllMA標準化委員会委員長を退任した。
 鳥海氏は標準化委員長を30有余年務められ、JllMAの基礎を作ったと言っても過言ではなく、政府・民間の橋渡しをしつつ、マイクロフィルム関係の標準化、規格化に尽力し、国内外にわたって活躍された。
 昭和58年ごろには6つの委員会を兼務し、精力的に活動した。その間、1982年にはIMCコペンハーゲン大会名誉・規格賞、1992年lMCベルリン大会名誉賞、1996年通商産業大臣賞(標準化功労者)と数多くの賞を受賞した。
 また1993年からはセミナー担当理事を2期務め、JlIMAのホームベージの開設に貢献するなど標準化以外にも活躍した。
 今後は日本のIM業界に必要な日本独自のオリジナリティを打ち出していただきたいと、次期に思いを託した。
 今後は、歴史文書や教育に力を注ぎたいとのこと、まだまだやりたいことがあると抱負を語った。
 JlIMAからは理事長、前理事長、関係者らが感謝の意を述べ、長年の功績を労った。

 鳥海氏より特別に許可をいただきましたので,ご紹介させていただきます.

鳥海史郎

残暑お見舞い申し上げます。
皆さま、お元気でお過ごしのこととお慶び申し上げます。

  先般、神田において小生の標準化委員会委員長退任に当たりJIIMA協会による「感謝する会」にご出席いただき、誠にありがとうございます。
 お陰様で皆さまと共に、楽しいひと時を過ごすことができ、よい記念となりました。
 開催に際し、JIIMA理事長、副理事長、専務理事、関係者及びスタッフの皆さまのご尽力に感謝申し上げます。
 合わせて、今後の標準化委員会活動に一層のご支援とご鞭撻をお願い申しあげます。

 全国に「文書の標準・規格」を普及させることを目的に、通商産業省の標準化事業及びJMA・JIIMA―JIS標準化委員会活動を介して、30数年間、特に、最近の約20年間に行われました初期のデジタル化文書の標準化の目的が達成できたことと考え、また同時に、小生の文書標準化の思いも関係者のご協力で達成できたことと思います。

 同封資料は、以下2件で、 これらは、政府の電子政府計画、国際化の動向(ISOの専門部会、TC171)に極力整合させ、全国の関係者に理解していただき、関係各位のご協力で達成できました。

1)標準化ガイドブック2008(改訂版)
  ・日本の「文書の標準化」及び「文書に関する法規定」資料を編纂したもので、最近20年間の活動でまとまりましたデジタル化文書JIS標準3点セットを掲載しています。

2)月刊IM 2009年6月号の抜粋
  ・デジタル化文書に関する用語 JIS Z6015(改訂版) について
  ・30年余の活動に感謝 について(パーティの写真添付)

1) 標準化ガイドブック2008(改訂版) について

 文書の標準・規格集を「標準化ガイドブック」の形にまとめ、文書関係者が利用し易い形にしたものは、27年前に作られスタートしました。
 IMビジネス業界における文書の技術標準は、すべての企業・官公庁等の組織の【文書の社会基盤】として必要です。それらは、お客と営業活動をつなぐ、文書管理システムの基礎教育及び実務教育、文書の資格制度、法律上規定すべき項目の裏付けなどに寄与しています。

 今回のガイドブックでは、最近の20年間に制定された以下に示しますデジタル化文書JIS標準3点セットも掲載しています。
 3点セットは、 デジタル化文書の長期保存を目的にしたもので、関係業界の協力をいただき、世界に先駆けJIS標準化を達成しました。

  (1)デジタル化試験標板 JIS Z6014 → デジタル化文書の品質評価

  (2) 電子化プロセス JIS Z6016 → デジタル化文書の長期保存方法(DVD/CDの寿命測定と保存方法)

  (3) デジタル化文書の長期保存 JIS Z6017 → 同上

 1)の標準化の背景は、漢字文書圏の環境で培われてきた世界トップクラスの日本のスキャナ技術があったことです。
 また、2)、3)は、世界トップの日本の光ディスク技術があり、その技術を利用し、国内企業で実施された文書管理方法を参考にしたことが標準化の背景にあってできたものです。以前、委員会も通商産業省の三橋博士などの協力を受けましたが、上記の日本の標準がやがてユネスコの「世界の記憶」でも利用される標準になることを期待したいと考えます。

 これらのJIS規格の中で「デジタル用試験標板 JIS Z6014 」は、現場の作業場で容易に使えるよう考えられたもので、デジタル化文書の長期保存品質を評価する特質すべきものと思います。
 また、同時に、日本では、アナログ文書からデジタル化文書の標準化の端緒が15年前に制定されたこのJIS規格の制定・普及にあります。さらに、この規格の制定を機会に、JIIMAの新しい文書管理士資格制度を発足させ、今日に至っています。
 上記の日本の標準は、日本のオリジナルとして、ISO標準案(ドラフト)の提案を進めています。

 3点セットは、今まで、各国で標準化されていないものですが、しかし、我が国及び各国で有効なデジタル化文書の標準化=オリジナリティ(新規性)のある標準化されるべきものです。これが、ここで言う、オリジナリティのあるデジタル化文書JIS標準3点セットといっています。
 なお、3点セットでは、既にこれらに関係する、“光ディスク寿命推定試験法”が ISO国際規格に制定され、またこの他、一部は日本から国際規格に提案しているものです。日本は、付加価値がありオリジナリティのある標準化を世界に向けて発信し、貢献することだ、と考えます。同時に、IM業界も同様に、日本が誇れる“e-文書システム”を世界に提案すべきであり、日本はそれができると考えます。

 ISO追従型では、日本の特徴を発揮出来ず、ついには、オリジナルが提案できないのでは、国際的に相手にされなくなります。30年前の日本人は、ISO規格というと鵜呑みにする癖があって、今も一部残存しています。
 しかし、例えば海外において、自分で創り誇れるe-文書システムを話すことができず、giveがなくtakeだけでは、今の日本の力から見ると、いつまで低開発国レベルなのか非常に恥ずかしさを感じるものです。
 今後の標準化委員会の委員各位は、若さと高い専門性をお持ちなので、真に新しい標準に期待したいと思います。