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【報告】精密OBによるエンジニアガイダンス

これまで,当同窓会のみで企画運営していましたが,今年度より,新入生対象のオリエンテーションの時間を使い,精密OBの方を招いた『精密OBによるエンジニアガイダンス』を開催いたしました.

その様子を写真を交え報告いたします.

【概要】

日時;2011年 5 月 12 日(木),6 限(18:00~19:30)
場所:5号館2階5235号室
タイムテーブル:
(1)戸井先生挨拶
(2)講演1:世界を席巻して日本の医療機器
オリンパス株式会社 研究開発センター医療事業システム開発部
外川剛(1984 年卒,1986年修了)
(3)講演2:精密機器開発エンジニアの仕事と企業がもとめる人材像
コニカミノルタテクノロジーズ株式会社 機器開発本部 PP 製品開発センター
森田真次(1990年卒)
(4)個別相談&質問会

【講演の様子】

新入生130余名のうち,90余名ほどの参加がありました.会場の雰囲気も静かで大変熱心に聞いていて,メモを取りながら真剣に聞いている学生が多く,寝ていたり雑談をしている学生は皆無であった.

【1】戸井先生挨拶

【2】講演1:『世界を席巻して日本の医療機器』
オリンパス株式会社 研究開発センター医療事業システム開発部
外川剛(1984 年卒,1986年修了)

<講演メモ>
・事業構成比率;映像:23%、医療:39%、情報:19%他
・日本人の発明商品:青色発光ダイオード、テレビ、シャープペン・・・・・胃カメラ
・オリンパスが市場を創生した内視鏡(胃カメラ)の歴史・技術から学んだことの説明
‘胃の中に入れて胃内を撮影するカメラはできないか?(1949年)’から始まり,胃カメラ(1952年) ⇒ ファイバースコープ ⇒ 電子スコープ(1985年~)と変遷してきた。
ノウハウの蓄積、手段の普及があり、そして診断学の確立と治療の連携があって出来上がった。
医療現場に提供する価値が重要であり、新たな技術の開発自身に溺れない。

胃カメラからファイバースコープへの切り替えなど,技術の変わり目は‘トップ’が入替わることに注意する。

内視鏡は進化しており、早期がん診断にカブセル内視鏡、狭帯域光観察(MBI)内視鏡が活用され、治療分野でも粘膜剥離手術など、低侵襲な処置により、患者の負担は激減している。

最近では腹部に孔明けする単孔式腹腔鏡下手術(LESS)が行えるようになった。
また、外部より孔をあけず、口~胃を通して腸を手術する経生理的開口部的管腔内視鏡手術(NOTES)も臨床研究が行われている。
・医療機器の世界市場は約20兆円と言われ、そのうち日本市場は約2兆円強である。
診断機器は日本が強い、治療機器の大半は輸出品に占められ、今後革新的な医療機器の開発が
急務である。

・‘結び’として、新入生に
「プロ」とは?:自分の力で飯を食う事ができる。それには専用技術を身につけること。
オリンパス医療分野での経験:エンジニア外との交流、付き合いは難しいが、相手に興味を持た
せる為には、勉強して価値を高めることが大事である。
不断の勉強で技術を磨き、競争者を意識すること。仲間を増やすこと。
人間的に個性を磨き‘Give and Take’の精神を大切にすること。を話された。

【3】講演2:『精密機器開発エンジニアの仕事と企業がもとめる人材像』
コニカミノルタテクノロジーズ株式会社 機器開発本部 PP 製品開発センター
森田真次(1990年卒)

<講演メモ>
・コニカミノルタの事業:材料、光学、画像、微細加工をコア技術としてオプト、情報機器、計測機器、ヘルスケア、産業用インクジェット、プラネタリウム事業がある。グローバルな事業の展開を計り、海外売上比率高72%
・講演者は入社時にポリゴンミラー加工技術、生産技術に携わり、オフィス分野のレーザプリンタ製品開発に取り組まれた内容を話された。

・レーザプリンタの内部構造の説明があり、プリンタのミラーの平面度はλ/10、
(東京ドームに例えると両翼100mで63.2nmの平面差で、ミラー幅20mmで0.31nmとなる?)
・熱、振動、材料力学、金属材料、数値解析など精密機械科の講義を勉強することが大切。
・企業の求める人材:コミュニケーション能力が重要、語学を学んでおくこと。
・聴講生に対し、「①広く興味をもつこと、‘何故’を繰り返す。②自分で考えること、‘最低3つは考える。③ホウレンソウ(報告・連絡・相談)が大切’」と結ばれた。

【4】講演者より皆さんへ:外川 剛 様より

【問1】聴講している学生の雰囲気はいかがでしたか?

・遅い時間にも関わらず、真剣に聴講しており好印象でした。

【問2】講演終了後,どのような質問を受けられましたか?

・卒業後の勉強について、具体的にはどのような機会で学んできたのか?
・新たな分野に取り組む際、モチベーションを維持する秘訣は何か?
・幼少の頃からの夢を追い、狭き門へのチャレンジを考えている。何かアドバイスがあれば。

【問3】1年生へのメッセージをお願いいたします.

・自分の頭で考え、自分の言葉で表現し、行動しましょう。
・様々な刺激が能を活性化します。いろいろな人と接点を持ち、ネットワークを広げましょう。
(同業者と接点を持つ一つのきっかけが大学のつながり・・・これも利用しない手はありません!)

【5】講演者より皆さんへ:森田 真次 様より

【問1】聴講している学生の雰囲気はいかがでしたか?

・新入生と話す機会、伝える機会は、初めてだったので、就活中の学生との意識の差(熱心さ)を心配しましたが、講演に対しきちんと話を聞こうとする学生が多く安心しました。良い学生が集まっていると感じました。(私自身、OBの話とか、社外の方の講演を聞くのは好きなので、こういった講演を都度行い目的意識を持たせる事は、重要と感じています。)

【問2】講演終了後,どのような質問を受けられましたか?

・講演後集まってくれた学生たちが、「エンジニアの仕事」が伝わったと言ってくれたので一安心。
その後も開発や加工研究の話をすると非常時熱心に聞いてくれたので、好印象です。
・第2外国語の選定に悩んでいる学生がおり、特にその学習方法で英語ベースで学習すべきかとか、真剣に考えていました。私の回答は、日本に居る以上、ネイティブな語学を目指すのは難しいので、ネイティブ並みより、考えるている事を伝える事が重要と伝えています。

【問3】1年生へのメッセージをお願いいたします.

・卒業まで「まだ時間はある」と考えるか、「もう時間はない」と考えるか・・・
これをバランス良く自分に当てはめ、夢(ありたい姿)、目標、行動を考えてみて下さい。
その結果、日々の学習、生活は充実した物となるはずで。
充実した中央大生活を送る事を期待しています。

【6】聴講した学生からのアンケートより

▼講演1:世界を席巻して日本の医療機器【印象,感想,質問など】(抜粋)

・プロ意識について自分の強みを見つけないといけないと思った
・最先端で研究しているのが素晴らしいと思った.海外に負けない機器を開発したい
・人の命に直結していて大事な分野だと思った
・技術が進歩していくのが分かった.自分もそんな仕事に就きたい
・医療機器の開発をしてみたいと思っていたので参考になった
・ただ開発すればよいのではなく,明確な目的があって初めて意味がある.自分の分野だけでなく,他の専門家と情報交換をすることが大切だと知った
・オリンパスのイメージが変わった.とても話がまとまっていてすごく興味が持てた
・自分も人を助けられるものを作りたい
・プロ意識とは.自分の力でメシを食うこと.スピード・チャレンジ・精神力・コミュ力
・胃カメラが日本の発明とは驚いた.輸入が多いのに驚いた
・医療に関していつ勉強したのか?

▼講演2:精密機器開発エンジニアの仕事と企業がもとめる人材像【印象,感想,質問など】(抜粋)

・将来に向けてどんなことをするのか見えてきた
・語学・コミュニケーションが大事
・ニュートリングの応用の話など.入社3年目でこのような研究が出来るのは大学での努力があったからだと感じた
・機械系の勉強しかしなのは将来会社で困るということがわかった
・ひとつの機械に80名のエンジニアが関わっていることに驚いた.そのなかでも活躍できるようになれたら
・今後の勉強方針が決まったと思う
・2年後に向けて頑張らないという刺激になった
・「何故?」を繰り返す.自分で考える.3つ考える

▼その他全体的な感想や印象に残ったこと.精密の先生への質問など

・とても今後の就職に向けての参考になりました
・より一層勉学を磨き会社の人材像に近づけるようにしたい
・先輩のようなエンジニアになりたい
・世の中の一つ一つが様々な努力があったことを実感した
・具体的にどういうことをやっていくのかの講演をこれらもやってほしい
・ホウレンソウ
・企業の宣伝が多くなってしまっているのは仕方がない
・自分だけでは分からない別分野の問題が出た場合,誰に相談するのかを誰が決めるのか?
・就職活動をどうやって乗り切ったのか聞きたい
・今は「就職」からしか逆算出来ないが,その一歩先に踏み入れた気がする.収穫である
・分かりやすく,全てが印象的で,今後の進路としても良いことである
・とてもすごいOBが中央にいて凄いと思った.凄い先輩を見てヤル気になった
・モノを作ることとは何たるか,企業に入ることは何たるかを知ることが出来た
・どの科目が大切かをもう少し時間を取って欲しかった
・エンジニアとして必要な事が具体的に聞けて良かった

以上,今回のガイダンスは盛況のうちに終了いたしましたこと.あらためまして感謝申し上げます.
震災後でお仕事が大変お忙しい中,後輩のためにと講演を快く引き受けていただき誠にありがとうございました.
新入生の皆さんも,天候の悪い中遅い時間まで熱心に聞いていただきありがとうございます.